Jan 31, 2011

冷たい熱帯魚@テアトル新宿


死体を解体する場面で平然と笑える映画に出会ったことがありますか?

私は出会いました。

そんで、今でも思い出すとちょっと笑いつつ吐きそうになります。
血だらけの人間の骨、臓物、肉片…おぉおお…
しかしそれでいて、清々しい気分でもあるんです。なんなんでしょう、これ。
公開翌日の日曜日、どうしても我慢できなくて他の用事を抜けて駆けつけました。東京ではテアトル新宿でしか上映していないということもあり、到着がもうちょっと遅ければ立ち見でした。平日でも日中の回は立ち見が出ているようです。ってなわけで、最前列でみることに。

日本版の予告編は観ているひとが多いと思うので、海外版を↓

園子温監督といえば、『愛のむきだし(2008年)』がかなり有名なので、そのイメージの方が多いのではないでしょうか。私も大好きな映画です。『紀子の食卓(2006年)』もそうでしたが、家族の崩壊と再生を描いた作品で、満島ひかり西島隆弘という、魅力のある若手俳優を生々しく、イキイキと撮っていて、エネルギーがむきだされています。元気の出る、ポップな極上エンターテイメント作品です。

他には『俺は園子温だ!(1985年)』『うつしみ(1999年)』 『ちゃんと伝える(2009年)』等々を観ていますが、若者の視点から、性や暴力を包み隠さず描いた作品が多く、さらに映画の観かたを問うてくるような、価値観をいい意味でぶっ壊してくれる監督だと思っています。

それだけに、今回の作品は、観る前からかなり警戒していました。今までの作品がほぼ大好きな私ですが、 今度は受け入れられないんじゃないか、という不安がかなりありました。

というのも、インタビューでこんなことを仰っているからです。

愛のむきだし』で多くの人が僕のことを勘違いし、愛を信じてポップな楽しい映画を作る人だと思い込んでしまったようなので、今回初心に戻りたいと思ったわけです

え!ポップじゃないんすか…!そ、そうですか(;´Д`)

さらに、公式サイトのTOPを見ていただければ分かるとおり、今回は「おっさん」の物語です。加齢臭ムンムンの猟奇的殺人とセックス…おそろしい
ってなわけで、居ても立っても居られず、行ってきました。

ストーリーの概要なんかは、ぐぐってみるといくらでも分かるかと思いますので割愛します。
感じたこと、4つのポイントに分けて書いてみようと思います。
かっこいい映像のカタルシス!
ふふふ…カタルシスって言ってみたかったのー(´∀`*)
小難しいことは抜きにして、園子温監督の映画って、やっぱかっこいいんですよ!
特に、「冷たい熱帯魚」ってタイトルが出るまでに多分30分くらいはあるんじゃないかと思うけど、
そのタイトルのでる場面!ニクイくらいかっこいいです。惚れ惚れします。

ボディーを透明にする作業
「ええ、そんなぁ…」っていうくらいフツーののりで、いつの間にか殺人の補助をせざる負えなくなってゆく主人公の社本さん。村田夫妻の慣れきった殺人の手順に、慌てふためきながら言われるがままに手伝います。「俺は完全主義者だから捕まらないんだ」という自信満々の村田が言うように、殺人から「ボディを透明にする」までの作業が、実に、「作業」としか言い表しようがないくらい出来上がっています。ピザ職人がピザをくるくるっとして手際よく焼くみたいに、左官職人が美しい動作で均等に壁を塗ってゆくように…。二回目以降の殺人では、観客もすっかりその手順を覚えてしまいます。
気づくと、「あ、そこは一回頭起こして体曲げないと運べないよ」とか、「いやいや、頭から先に入れて…」とか、「もうちょっと細かく切ったほうが」「いや、醤油たんなくない?」とか…指示を出してしまいそうなくらいです。怖っ!

役に立たない人たち
そういえば、ヤクザとか警察官とか出てきます。だいたい映画だと、彼等に焦点が当たりやすいですよね。でも、この映画では全く役に立ってないです。予告編を見ると、多分簡潔にストーリーを説明するために彼等がよく喋るんですが、本編では全然そんなことはなく、脇役もいいとこ、です。
「普通の人」を描く、ということに徹底している映画なので、正直、ヤクザとか警察官とかを特別に扱う必要はないんですね。ただ、彼等は村田のこのセリフのために存在します。「俺は、警察もヤクザも敵に回してるけど、ちゃんと生きてる!!自分の足でちゃんと立ってる!!」
水槽から出てみろ!
日本でのほほんと生きてる奴らにほんとに腹がたつ、みたいなことを園子温がどっかのインタビューで言ってた気がするんですが、覚えていないのが残念。この作品には、その苛立ちが悪意たっぷりに現れています。小さなお店で、しょぼっく
れた生活で、妻と娘に受け入れられる事だけを夢見るしょぼいおっさん、社本。こいつが無様にぶっ壊れて無様に死にます。
最後の最後まで、社本は娘に希望を持ってます。さんざんひどいことをしておきながら、親っぽいことを言います。しかし…っていうラスト。

監督は、別のインタビューでこんなことも言っています。

日本映画で希望を持たせるようなエンディングの作品を見るとガッカリする。気分が悪くなる。”人生捨てたもんじゃないよ”と変に救いを持たせるより、”愛とか希望なんかある

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