愛する人@Bunkamuraル・シネマ

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Bunkamuraのあたえてくる、抑圧感は何だろうか。
丁寧さに、さらに丁寧をこれでもか!と重ねた上で、ウザがられないように配慮もぬかりない。超丁寧に接客しながらも、手際が良くて、ただ身を任せていれば、迷ったり困ったりすることなく映画を見て、迷ったり困ったりせずに帰ることができる。

一番びっくりしたのが、帰るとき。エンドロールが終わらないうちに劇場を出ようとすると、扉が勝手に開くんですよ。見たら、扉の外側に、係のおねぇさんたち(美人)がへばりついてて、ちょっとだけ扉を開けてお客さんが近づいてこないか見張ってる。で、お客さんがちょうどいい塩梅に近づいて、ドアに手を伸ばそうか、としかけた絶妙のタイミングで扉を開けてお客さんを通す。〜からの、OJIGI&AISATSU。「見事」のヒトコトである。見事すぎてなんか、釈然としない思いだけが残るぜ。

そんなこんなで、尊敬しているけれどもあまり接近したくない映画館ル・シネマにわざわざ行ってきたのは、どうしてもこれが観たかったからです。

『愛する人』
14歳で妊娠して子供を養子に出してしまった母親、そして養子に出されて孤独を抱えたまま成長した娘が、37年の時を経て近づいていく様を、人生の悲喜こもごもを織り交ぜながら、優しいまなざしで綴る。

大好きな本『百年の孤独』の作者、ガルシア・マルケスの息子、ロドリゴ・ガルシアが脚本&監督なのと、この映画の邦題のつけ方の狙いだとかなんやかんやを事細かくつるちゃん(友)にきいて、すごく気になっていた映画だったので、結構楽しみにしていました。

うん。観てよかった!映画館には、Bunkamuraのターゲット層ど真ん中の、もう子育てを終えた女性たちが多かったけれど、もっと幅広い年代の女性に見てほしいなと思います。「自立」をテーマに生きてるわたしみたいなOLは、「子供はいいもんだ」「愛って素晴らしい」とかいう映画をみると、「そうですか、おめでとうございます」とだけ言って早く帰りたくなると思うんだけど、この映画はそんなことないよ。むしろ、強く生きようとしている女性にこそ観てほしい。「愛する人」っていう邦題や、ストーリーに書いてある、「あったかいヒューマンドラマ」的な雰囲気に騙されてはいけない。大丈夫。「子作り」でも「仲良し(笑)」でもない、セックスもちゃんと描かれている。これはわたしたちの映画です。自分が子供産むなんて想像つかない、という人にもぜひ、観て欲しいです。

そんなわけで、ここからは自分勝手な感想。
ニューヨークあたりで有能な女弁護士になりたい、という隠れ夢を抱いているわたしなので、終始、ナオミ・ワッツ演じるエリザベスに感情移入をしていました。エリザベスは母親が14歳の時に生まれ、養子に出される。養父母ともそんなにうまく行かず、「自立すること」をもとめて弁護士になり、華々しいキャリアを築く。

エリザベスの最初のシーンは、弁護士事務所の面接なんだけど、もう、このシーンからずっとエリザベスカッコ良すぎる…!

「君が求めているのはなんだ?」「自立することです。」即答…!

会話もいかにも頭が良さそうで、まあ出来過ぎてるっちゃ出来過ぎてるんだけど、いいんだよ!かっこいいんだから。

「君を新しいプロジェクトの責任者に抜擢しよう」とか、黒人の上司にベッドで言われたい…!そんで「ありがたいけど、辞退させていただくわ。自力で勝ち取りたいのよ」とか、言いたい…!

とまぁ、妄想がそのまま映像になっていて、大変楽しめました。
わたしはね。

このカッコ良さも、聡明なエリザベスのことだから、なろうとしてなったもの、だと思う。自立したいから弁護士になる。人とのつながりは、セックスで十分。実にシンプルで迷いがない。しかし、計算尽くめの彼女に、ある計算外の出来事が発生します。その出来事に対する彼女の反応に、はじめは「?」なんだけど、そのうち心から共感してくる。たしかに、その決断になるよね!って、本当に思える。なんのことやらだろうけど、この、「?」から「分かる…!」までの流れは、ぜひ劇場で体感してほしいなと思います。

この映画で一番良かったのは、登場人物、特にエリザベスと母カレンを、「孤独」なんて風に安っぽく描かなかったところ。二人は一度も会ったことのない母子だけど、同じように一人で、とってもよく似ている。強くあろうとして、ちゃんと強くて、人との馴れ合いは、むしろ拒否している。感じ悪いってなくらいのもんです。でも、ちゃんと、自分の足で生きてる二人だから、とても愛おしい。

あまり書けなかったけれど、黒人の夫婦もよかった。はじめは弱々な奥様なんだけど、「母」になって強くなる。自身の母親に、子育てで疲れて弱音を吐くと、一喝される。「子育てするのはあんたが世界で初なわけ!?大人になってちゃんとやりなさい!」って、かっこいいよ…。それまで、ただの悪口ばっかいってる疲れるオバチャンだったのに、そうか、あなたも母なんだね。かっこいいね。

てゆう、ひたすらかっこいい女たちが登場する映画です。どんな女性にも、力を与えてくれるはず。
あ、でも男性が見たらどう思うんだろう。居心地悪いのかな?彼女のメイク直し待ち(みんな泣くから)の男の子に聞いてみたかったぜ。

そんなわけで、まだやってると思うのでぜひみなさん見てみてくらさい。 

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