劇場版・神聖かまってちゃん『ロックンロールは鳴り止まないっ』@渋谷シネクイント

NO IMAGE

の子の名言も、神聖かまってちゃんの今までの伝説も、ほとんど登場しない。実在のバンドを中心に、完全なフィクション作品に仕立て上げた、奇妙な、でもなんだかすっごくオモシロイ映画でした!

「SRサイタマノラッパー」の監督である、入江悠が神聖かまってちゃんの映画をとるらしい。それも、ドキュメンタリーではなくてフィクションらしい。素敵な文章を書く、元AV女優の森下くるみさんや、若手女優の二階堂ふみさんが出るらしい。マネージャーの剱さんがガッツリ演技をしているらしい。バンドメンバーは本人役で出演するらしい…。

そんな噂は聞いていたけれど、映画の雰囲気は全くつかめないままに、初日、4月2日に劇場に向かいました。

それもそのはず。上に貼った予告編が公開されたのが、映画公開初日だったようです。上映前の舞台挨拶で、監督が「それじゃ“予告”じゃないだろ!」って突っ込んでいたとおりです。

公式サイトもあまり更新されず、公の情報はあまり手に入りません。一方で、twitter入江悠監督や、かまってちゃんマネージャーの劔樹人さんをフォローしていると、撮影や編集の進捗などといった現場の情報は入ってくる。こうした歪な情報だけを持って映画を観るというのは、新鮮でワクワクしました。たぶん、意図していたものではなく、行き当たりばったりだったのではないか、と想像するのですが、そのハラハラ感がかまってちゃんらしく、また入江監督らしくもあります。

そんな感じでワクワクしながら観に行った公開初日、舞台挨拶付きの渋谷シネクイントはほぼ満員!舞台挨拶での子以外のメンバーと監督、森下くるみさんが登場すると、客席からは「あごー!」「みさこー!」「ちばぎーん!」という、いつものライブのような声援が飛び交い、ちょっとぐだぐだで、あたたかい笑いに包まれたトークが、「この映画を見た後、神聖かまってちゃんのライブに行きたい、と思ってもらえたらこの映画は成功です」という監督の言葉で締めくくられると、いよいよ上映です。

プロ棋士を目指す女子高生、離婚間近の三十路の母親、保育園児の息子、そして音楽業界のビジネスとバンドの間で悩み奔走するマネージャー…。この映画は彼等とそれを取り巻く人々の群像劇です。

登場人物に共通するのは、みんな何かと戦っていること。それぞれが、年齢や社会的立場の「常識」にぶち当たって悩み、しかし自分の選んだやり方を信じて進もうと、必死です。こう書くとかっこいいようですが、そうは描かないのが入江監督。必死に戦うことのカッコ悪さも、おもしろおかしく描かれます。

『SRサイタマノラッパー』に、大好きなシーンがあります。役所に
“地元のがんばる若者”ということで呼ばれた、埼玉のヒップホップグループSHO−GUNGが、気まずい雰囲気の中でラップを披露する場面です。当然、役所の人々にヒップホップが受け入れられるハズもなく、「将来は考えているのか」「歌詞の意味は」など、容赦ない質疑応答が続きます。

この恥ずかしオモシロイ感じ。『劇場版神聖かまってちゃん』での登場人物達の頑張りも、この、恥ずかしオモシロイ感じで容赦なく描かれます。

特に印象的なのは、保育園児の涼太が、保育園で神聖かまってちゃんの『芋虫さん』を流行らせてしまい、保護者会と園長に母親が呼び出される場面。保護者会からの容赦無い批判にさらされる母親と息子。これは神聖かまってちゃんを聞くときのなんとなく後ろめたい感覚をモロにえぐられて、ファンにとっては何ともいえない痛痒いような感覚になる場面です。

しかし、涼太くんや、かまってちゃんの音楽に魅せられた子供たちは負けません。痛快なやり方で先生をごまかして、堂々とかまってちゃんファンを貫きます。

そして、映画全体も、「常識的な人」や「古い価値観に縛られた人」なんかを皮肉った作りになっています。皮肉った上で、彼等をもかまってちゃんのライブの魅力に取り込んでゆく…。ラストのライブシーンでは、主要な登場人物達はもちろん、彼等と敵対していたような人たちも、会場で、PCやiPhoneのニコ動で、ライブに感化されるのです。

観終わると、なんだか元気が出てきます。ストーリーはなんか強引だし、反則な気がするけど、まあいっか。オモシロイから。と、無理やり納得させられてしまって、満足感だけが残ります。これは、かまってちゃんのライブの後に感じる気分に似ていました。

十分満足して帰ろうとしたのですが、スクリーンだけで終わらないのが入江悠監督。サイタマノラッパーでは、映画を見終わったらロビーで出演者がラップをしていて感激!!!だったこともあるくらいなのです。
今回も、なんと舞台挨拶に来ていた出演者の皆さんと監督が、外で待っていてくれました!

そして、プログラムにサインを頂きました。
写真

「みんな終電大丈夫かな」「待たせてごめんね!」配信やライブの時と変わらず、ファンを気遣うメンバーたちが、一人ひとりに丁寧にサインをしてくれました。 もちろん森下くるみさんも。

 ところで、神聖かまってちゃんと言えば、すべての曲の作詞作曲、デモ音源作成、PV制作をするの子が中心ですが、言うまでもなく、当然、会場にはいませんでした。たぶん、千葉の家で寝ているか、曲を作っているのかな。彼は、映画の中にもほとんど登場しません。このなんだかイビツな感じも、かまってちゃんの魅力のうちです。

力を抜いて、でも本気で、涼しい顔してひょいっと常識を越えていく感じ。そんな神聖かまってちゃんと入江悠監督の作品に、「現在の空気感」を魅せつけられ、さあ、これからどうしよう、とワクワクさせられました。 

日記カテゴリの最新記事