Feb 4, 2012

『はじめての編集』を読みました


編集職の募集にはものすごい数の応募者が殺到するし、周りに編集志望者も多い。わたしも、その掃き捨てるほどいる編集志望者のひとりです。

しかし、求人広告をいくらあさっても、編集職の募集要項には必ず【編集経験 ○年以上】とあります。新しく編集者を増やす必要はありませんよ、経験者しかいりませんよ、というわけです。ウェブサイトの立ち上げや運営だって編集じゃないか、といくら屁理屈をこねてもだめ。

編集経験という得体のしれない「秘密結社」の人だけが知ってるようなものがなければ、書類を読んでもらうことすらかないません。

じゃあ「編集」ってなんなんだろう?

facebookやブログのようなインターネットでやっていることと、秘密結社の言う「編集」との差はなんなんだろう?

そんな疑問を持って、今話題のこの本を読みました。

読んで少し時間がたってしまいましたが、まとめておきます。

編集のレシピ本

著者の菅付雅信さんは著名な編集者で、言うなれば、「秘密結社」の幹部クラスの方です。

それでありながらというべきか、だからこそ、というべきか、敏感に時代の空気を感じ取っていらっしゃって、正に最近考えていたような「今や誰でも編集をする時代なんじゃないのか」ということにとっくに気づいています。この本は、そんな誰でも編集をする時代に、”料理のレシピ集”のような立ち位置になるべくして書かれたものです。facebooktwitterで言葉を発する機会の増えた多くの人が求めていた本、というところです。

編集を因数分解してみる

編集の方法や定義付けというのは人によって全く違うし、同じである必要はありません。著者は、あくまで自分の場合は、と断った上で下記のように編集を定義付けします。

“編集とは

企画を立て、

を集め、

モノをつくるために、

言葉イメージデザイン

アンサンブルすること”

実にシンプル。

でも、これだけをみると、わたしの日々の仕事と同じです。

わたしの仕事は、

企画を立てて稟議を通し、

協力者を集めて契約をまき、

文言やコンテンツのデータや

デザインイメージを組み合わせ、

サイトをつくること」

WEBの場合は作った後のほうが大変だったりするのですが、それでも一見同じように見えます。

しかし決定的に違うのだ、ということは、この本を読み進めていくと分かります。

この本では、編集の定義を“因数分解”して、各章を企画、言葉、イメージ、デザインとわけて、それぞれについて優れた事例や著者自身が手がけた事例を上げながら丁寧に解説してゆきます。

これらの各章を読むと、ずっと疑問だった「編集」の独自性がちょっと垣間見えました。

企画の立て方の角度と深さ

圧倒的に違うのが企画の立て方です。

WEBであればデータがすぐに取れるので数字を見てさっと決める部分もありますが、編集は、編集者の肌感覚による部分が多いのではないでしょうか。それは、雑誌や書籍の発売になる、数カ月後に世の中の気分が求めているモノを先取りする必要があるからかと思います。過去やデータから考える部分ももちろんあるのでしょうが、それ以上に感覚を研ぎ澄ませることを大切にしている印象があります。読者をあっといわせながらもひきつけるアプローチの角度は、感覚からしか作れないものだと思うからです。

言葉とイメージへのこだわり

電車の中吊り広告のキャッチにはっとすることはないでしょうか。雑誌の表紙の写真に思わず惹きつけられてしまったり。

雑誌や書籍の場合、購入に至るまでに、気づいてもらえるか、手にとってもらえるか、買ってもらえるかということが、言葉とイメージで決まることが主です。だからこそ、言葉とイメージにはものすごくこだわりをもって作る必要があります。WEBであれば、集客の手法はさまざまで、バズマーケティングだとか、SEOSEMなんかで一気にものすごい数のユーザーにリーチして引っ張ってくることができます。反面、言葉やイメージをいくら突き詰めても、膨大な情報の中に埋もれてしまうリスクも高いと言えます。考えぬいた、心に刺さる言葉よりも、反射的にクリックしてしまう言葉。印象に残って離れないイメージよりも、はっきりとしたわかりやすいイメージ。そういうもののほうがWEBでは必要とされていて、わたしも日々そういった言葉やイメージを考え、作っています。

わたしの主観ですが、WEBの世界で、ちゃんと届く言葉とイメージを突き詰めているのは、マス広告や駅や電車の広告も出しているような大手企業のホームページか、一握りの個人ブロガーさんのブログぐらいではないでしょうか。まだまだ、必然性がないのです。しかし、どうにかここを突き詰める方にいかないと、WEBはすごくつまらないものになります。書籍も売上が落ちる中、WEBもおもしろくなくなっていくというのは一番避けたいところです。

編集のその先へ

ついWEBの話になってしまいましたが、戻します。

この本では“人生の編集、人生の作品化”ということをが必要な時代のための、編集指南本として書かれています。先ほど、人の心に届く言葉やイメージを突き詰めているのは広告費を使っている大手企業か個人ブロガーだと書きましたが、今やブロガーでなくても、多くの人が情報を発信するメディアとなっています。

では、雑誌や書籍、マスメディアはいらなくなるのでしょうか?

分かりませんが、「大きなメディア」はますます必要になってくるものとわたしは考えています。これからの編集は、「企画を立て、人を集め、モノを作る」のその先に山ほど新しいものが生まれ、また、企画の立て方も大きく変わってくると思います。今後、というか、今この時も、編集職につけていないからこその「編集」のやり方があるのではないか。そこを模索したいと考えています。

あ、なので、

編集の仕事に携わっている方、

よろしければtwitterfacebookで話しかけていただけると大変、大変に嬉しいです。

ちょっとでもお話をできれば嬉しいです。あわよくばお茶かお食事でも!

(部分的に)おごります。

また、著者の菅付雅信さんのインタビューを紹介します。

今をときめく天才売れっ子イケメンちょんまげライターの田島太陽さんがインタビューをしていて、すごく内容が濃いです。さすが。

まずはここだけでも読んでみるといいと思います。

1.編集スキルは特別なものじゃない、因数分解できます

2.大学を辞めようと思うので、仕事ください!

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