まだ、戦争には間に合いますか? 大林宣彦監督『この空の花』@深谷シネマ

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大林宣彦監督の作品は、観られる限り観なければ、と最近思っています。

生きている限り人は変化するものだ、ということに気づいてから、巨匠と呼ばれる人や、老いて死んだ人、年を重ねて輝いている人に対して自然と尊敬の目を向けられるようになってきて、

「70歳の新人」と自らを称して年々作品が瑞々しくなっていく恐るべき方、大林宣彦監督から目が離せなくなっています。

そんな監督の最新作『この空の花』は、

長岡花火を題材に、太平洋戦争や模擬原子爆弾のこと、中越地震、そして東日本大震災のことを通して

長岡という土地のこと、そこに生きる、またはかつて生きた人々のことを虚構と現実を交錯させて描き出した、

とんでもなく壮大なワンダーランドの物語です。

言葉で説明しようと思うと何万文字費やしても足りないので、まず観ることをおすすめします。

何しろ、情報量がとんでもなく多く、3000カットもあるというからびっくり。

普通の2時間程度の映画であれば、500カットがいいところなので、そのぶっ飛び具合が分かるでしょう。

また、映画作りが楽しくて仕方がない!という気持ちが溢れ出す作品を撮る監督が、今回はじめてデジタル撮影に挑戦しています。

それはもう、新しいオモチャを手に入れた少年のように、とにかくデジタルを駆使して思いっきり暴れていらっしゃる。

その楽しくて仕方ないという、圧倒的な幸福感が映画全体からものすごいエネルギーとなって溢れだしてきています。

監督が言うには、「脳が追いつかない映画」というのを目指してつくったということですが、そのとおり、何だかよく分からないうちに涙が止まらなくなっている。そういう作品です。

パンフレットで知ったのですが、このとんでもないぶっ飛び映画は、長岡市の要望によって作られたということ。お役所の依頼で作った映画…。

だいじょうぶなのかな?

や、大好きだ!

ちなみに、今時点でどの映画館で上映されているのか、今後どこで上映されるのか、何だかその辺もよく分かりません。

以前東京で上映されていたときにも、しょっちゅう映画のWEBサイトをチェックしていたのに公開日に気づかなくていつの間にか終わっている、というくらい、

普通の映画のように分かりやすく情報があるわけではありません。しかし、そのレア感も含めて、映画体験になるのではないかと思います。

↓観たい人は、ここをこまめにチェックするといいです

上映情報(関東)

私は先週、海の日に、遠出して埼玉県にある深谷シネマで鑑賞しました。久しぶりに会った友達といろいろと話しながら行くとあっという間でしたが、池袋から1時間以上かかるところです。

この空の花1

↑駅はこんなに立派。

↑画になるわー。

 映画館の敷地内です。が、映画館自体を撮影するの忘れました。

都心では気温36度くらいというものすごく暑い日で、少し駅から歩く間に頭はぼーっとしてきておかしなテンションに。駅前にショッピングモールもなく、商店街の一個一個の小さい店がちゃんと生きていて素敵な町でした。長い時間をかけて移動したことと、暑さで頭をやられたことと、たどり着いた町が良い感じだったことも相まって、映画の味わいがだいぶましたようでした。よりぶっ飛び具合を体感できたようです。

ただでさえ頭がぼわぼわした状態でものすごい映画を浴びて涙でぐじょぐじょになって、観終わった時にふと、いくつかやりたいことが見えた気がしました。

まずは、九州に行こう、と思いつきました。

1945年8月9日に小倉が晴れていたら、

私は今ここに生きていないかもしれない。

幼い時から親に言われていた、そんなことをふと思い出したんです。

そうしたら、映画の登場人物たちと同じように、自分と何か関係のある土地に行って、そこのことを知ること。そこに生きる人々の話を聞くこと。それを私もしたいな、と思えました。

「私たち、戦争なんて関係ないのに」という冒頭のセリフのように、私もどこか戦争だとか、歴史と距離を置いて勝手に生きていたところがあったのですが、そもそも戦争と無関係ということもありえないし、歴史や土地と無関係ではないのだ、ということを実感しました。映画をみて”実感”する、というのが、大林映画のすごい所です。

他にも、いくつか。大切なことに気づきました。ずっと見えなくて苦しかった、やりたいことも見えてきた。少しだけ。

やりたいことをやるためには、課題になるのは時間のこと。

いま、この記事を書いている間も、時計を見ながら限られた時間で書いている。平日は毎日14時間前後は会社に費やすことになるし、分かってはいた事だけどそこで悩むことはありそうな予感。まあだけど、時間をひねり出そうという努力はギリギリまでやるはず。臨界点に達したら何かしらの判断は下すはずだから、今の時点でそのことで思い悩むのは辞める。

まずは、行動。

最後に、映画で膨大に浴びせかけられた言葉の中から、心に引っかかったところをいくつか紹介しておきます。

・失恋でもしないと自分を表現しようだなんて思わないですよね

・花火は夜が暗いから美しい、明るすぎる夜は心を壊しますから

・母「身体が強くはないけどあなたを産んだわ」娘「ありがとう」母「あなたも、ありがとうって言われないと」

・恐怖とは、想像力が追いつかないこと

・誰かがいないさみしさを埋めるのは想像力

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