Jan 5, 2013

あまりにも不自然なミュージカル映画『レ・ミゼラブル』


あけましておめでとうございます。

2012年後半から更新が滞っていたこのブログですが、2013年も細々と続けて参ります。

SNSで共有しなくなった今となっては、誰も読んでないのではという気もしますが・・・。

年越しは毎年恒例となっている、友人の企画した運転手付き貸し切りサロンバスでひたすら飲みながらパワースポットを巡って温泉にはいる、というなんとも贅沢な旅行に参加し、ギリギリ三ヶ日のうちに神奈川の実家に帰りました。

もうおせち料理はなくなっていて、普段の家庭料理が食べられるかな?と期待したのですが、突然「わたし、ピザを生地から作ってみたい!」という、ちょっとよく分からないことを母親が言い出したため、生地の作り方やのせる具をネットで調べて提案し、一緒に買い出しをし、生地をこねるという重労働から具をのせて焼くまでを一通りやるはめになりました。そんなことがあったり、久しぶりなので話し込んでしまったり、飲み過ぎてしまったりで、結局「実家でゆっくり読書」と思い持っていった本たちは全く消化できず・・・。

まあそれでも、ついに「実家のマンションの鍵」を手に入れて、「いつでも帰っておいで」と言ってもらえて、ちょっと泣きそうになりました。私が一人暮らしを始めてから両親と弟ですみ始めたマンションなので、私の部屋は無いのですが。寝るときはリビングのソファーベットです。固いです。

ちなみに、鍵を今までくれなかったのは、仲が悪い訳ではなくて、絶対になくす、と思われているからだと推測しています。仲はいいですが信用はないです。笑。

そんなハートフルな実家からの帰り道、新宿で乗り換えるのだから、と思い立ち、お正月映画を何か観ようということで、『レ・ミゼラブル』を選びました。

お昼過ぎごろだったのですが、バルト9は夜の回まで待たないと席が取れず、調べたところ、行ったことの無かった”新宿TOKYUMILANOミラノ座”でやっているとのことで、歌舞伎町ということでちょっと不安を覚えながらも行ってみることに。

案の定、行き帰りには元気なおっちゃんにからまれたり、知らないお兄さんに声をかけられたりしますが、ついて行かなければ大丈夫なので問題なし。「知らない人についていっちゃいけない」という教えの重要性をあらためて感じました。

劇場はかなり古い作りできれいではありませんでした。自由席なのに整理番号ではなく開場前に並ばせるという、なんだか何から何までオールドスタイルでしたが、昔ながらの大劇場に雰囲気が似ているので、舞台を観るかのような感じを疑似体験できる、という意味では悪くはありませんでした。これでもか、というくらい品を悪くした帝劇にいる、という気持ちになります。

レ・ミゼラブル』という作品ですが、元は小説で、98年にはそれを元にした劇映画も作られています。今回の作品は、ユゴーの原作小説をミュージカル化して1985年にロンドンで上演され、大人気となった舞台を元に映画化したものです。

日本でも”レミゼ”ファンは多く、帝劇でも上演されているようです。しかも、余談ですがコゼット役の一人は高校の後輩でした!がんばっているようですね!

舞台版の雰囲気はこれをみると分かります↓

私は、曲は聴いたことがあるものの、舞台を観たことが無く、まっさらな状態でこの映画を観ました。

まず感じたのは、ものすごい違和感。

冒頭の、服役中のシーンですが、ミュージカル嫌いのタモリがよく言うような、「なんでこいつら歌ってんだろう」という不自然さがどうしても拭えませんでした。

私自身はミュージカルが大好きで、好きすぎて高校時代は”ミュージカル&演劇部”に所属していたくらいですし、ミュージカル映画も好きなのですが、今まで感じたことの無いほどの違和感がありました。

「シカゴ」や「オペラ座の怪人」、古くは「ウエストサイドストーリー」なんかでも、曲の不自然さをなくす、ということにかなり気を使っている感じがあります。

曲の入りが自然というのもありますし、曲中のカメラワークが、劇部分と明らかに違っている、ということが大きいように思います。

それに対し、今回の『レ・ミゼラブル』では、カメラワークは一貫して劇映画のまま、ミュージカルの持つ陽気さ、虚構感を極力排除し、人間ドラマの効果として歌が入り込んでくる、という形をとっています。

そのため、マジなシーンで歌ってる、という、あまりにも不自然な見え方になっていて、正直前半は「なんで観に来ちゃったんだろう・・・」という気持ちでした。

それが一転したのはアン・ハサウェイ演じるファンテーヌの名曲『夢やぶれて』のシーンで、登場人物の内面をえぐるようなアップに、心情を吐露する熱唱。思わず涙が込み上げました。

はじめは違和感を感じる歌の部分ですが、慣れてくると自然と登場人物の内面を表現したり、群衆や複数の人物がそれぞれのことを考えているというのがメロディーや歌詞の入り組み方で表現されていたりして、効果的に感じられてきます。

衣装やメイクがこれでもかというくらい汚いことも気になったところです。

舞台の場合はある程度、観客の想像力で補完されるので、小ぎれいでもなりたつのですが、映画という性質上、また今回はこの作品の「人間ドラマ」という部分と「ミュージカル」という部分を両立させる演出なので特に、リアリティを持たせていたのではないかと思います。それにしても汚い。この汚さに、やるせなさを感じ、胸がヒリヒリしました。これには観ている最中は悲しくて不快だったのですが、後から考えると大変効果的なものだと思います。

そんなわけで、はじめは戸惑ったものの、きっちり物語に引き込まれて涙してきました。

ただし、ミュージカル好きとしては悩まされたのも事実。

画作りにあそこまで手をかけているものの、ミュージカルの不自然さに慣れた時、私はブロードウェイかロンドンの劇場でミュージカルを見ているような気分になっていました。つまり、”フランスで、あの時代に起きたこと”という設定のままではなじめず、ミュージカル作品である、ということはどうしても前提にあった上ではじめて内容に入り込めた、という訳です。

ミュージカルというジャンルの限界もあるかもしれませんが、ここの何ともしがたい課題には、この映画を持ってしても超えられなかったように思います。

そうはいってもいい作品だと思うので、おすすめです。

後から知ったのですが、大物ぞろいの俳優たち、実は厳しいオーディションを経て選ばれたとのこと。あそこまで歌がうまいので吹き替えかと疑っていたのですが、どうやら、撮影時に実際に歌った音源を使っているといいます。

どこまで本当か分かりませんが、また、もちろん音程の修正なんかはしてるでしょうが、そういったことを差し引いても胸に迫るいい歌ばかりでした。

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コメント1件

 ステラマリス | 2013.05.27 19:05

私はこの映画が大好きです。7回観ましたがそのたびに感動し号泣しました。今度DVDが発売されますが多分何百回も観る事になると思います。やはり歌が素晴らしいです。特にエポニーヌには泣かされます。ラストシーンは大好きで泣きながら感動します。本当に素晴らしい映画で生きている間に出会えて良かったと神に感謝いたします。

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